とかち/1741

2019.08.24 トカチナベ編集部

人と人とが繋がって十勝の未来も広がる農業インターンシップの可能性とは

人と人とが繋がって十勝の未来も広がる農業インターンシップの可能性とは

東京大学1名、京都大学2名、北海道大学1名、慶應義塾大学1名、東京農業大学4名、宮城大学4名、大阪大学1名、明治大学1名、立命館大学1名、産業能率大学6名、京都造形芸術大学1名、千葉大学2名、法政大学2名、長崎県立大学1名などなど……。これ、地元進学校の進学実績ではありません。平成30年度に帯広を訪れ、滞在した大学生なんです。十勝には、短大を含め大学が2つしかありません。そのため、高校卒業後の進学を機に地元を離れる人が多く、十勝には「大学生と接する文化が無い」という人もいます。確かに十勝に住んでいる大学生は、それほど多くはありません。しかし皆さんはご存じでしょうか? 毎年、東京や関西をはじめ、全国から100人以上の大学生が帯広の畑に来ていることを。これら大学生を帯広に引き付けているのが「農業インターンシップ」という仕組み。農業に興味があり、農業を体験してみたいと考える学生たちに対して開かれている、いわば農業の就業体験です。帯広で開催されている「農業インターンシップ」は農業王国だけあって、日本最大規模。そこで今回は、帯広市が主催している「北海道十勝帯広農業インターンシップ」で学ぶ学生の姿も含め、仕掛け人の山内さんに、いろいろと話を伺いました。(トップ写真提供:TASUKI LLP)

北海道十勝帯広農業インターンシップに参加する学生たちは、約10日~2週間ほどの研修期間で、農作業の体験はもちろん、農業者との懇談会や農業関連施設の視察、地域イベントの参加など、多様なプログラムで十勝の農業というものを肌で感じることになります。このプログラムが始まるきっかけとなったのは、2000年頃。現在も事業責任者として活躍する山内一成さんが、大学時代にプログラムの原型である「北海道農業インターンシップ」の立ち上げに携わったことからでした。

三重県出身、東京の大学に進学した山内一成さん

「学生の頃から、プログラムの事務局員として人材のコーディネートを行っていました。初めて帯広を訪れたのは、大学4年の時。最初は知り合いもいなくて、インターンシップに協力してもらえる農家さんも少なかったですね」
しかし、帯広の大自然に感激し、次第に地元農家との縁も深まっていきます。そんな山内さんに転機が訪れたのは2012年のこと。当時プログラムを主催していた企業が撤退することになり、「それなら自分にやらせてください!」と手を挙げたのです。

33歳の時に思い切って独立!(写真提供:TASUKI LLP)

「東京の人に何ができる?」と相手にされないこともありましたが、大学時代から大切に育んできた縁も多く、徐々に地元農家の信頼を得ることができたと山内さんは振り返ります。
「2016年には、帯広に移住も果たしました。このプログラムを立ち上げた2000年当初は参加者わずか31名だったのが、現在では年間120名、累計1400名以上にまで広がっています。協力いただいている農家さんも、当初の16軒から60軒以上にまで増えました」

実際に北海道十勝帯広農業インターンシップに参加した学生にも、話を聞きました。法政大学文学部地理学科でみかんの研究をしているという、森優さんです。

帯広市役所にて、山内さん(右)と談笑する森優さん

森さんは、1年の時と3年になってからの2回、プログラムに参加しています。
「大学では3年になるまで研究室に入れないので、もっと早く農業のことを知りたくて、1年で参加しました。さまざまなプログラムが選べるのですが、3年の時には農業に特化したものに参加して、昼は農家で作業をし、夜は農業関連企業の社員さんからお話を伺うなど、充実した日々を送りましたね」
農作業体験では、帯広市内の農業者の元でジャガイモ、大根、長イモ、ビート(てん菜)などの収穫などを行います。農業王国・十勝帯広で実際に農作業を体験することで、命を育む農業の大切さを実感し、さらには自分自身の働き方、生き方をも探求する……学生にとっては、実りの多い研修期間となること間違いなしです。

笑顔が印象的な、研修期間中の森さん(写真提供:TASUKI LLP)

インターンシップを経験し、小麦や豆などを取り扱う十勝の農業関連企業に就職が決まっている森さんの夢も、大きく膨らみます。
「本州の農地面積が1軒あたり平均2.2ヘクタールなのに対し、北海道は平均35ヘクタールもあるんです。本州に比べて余裕があるため、北海道の農家や企業はより広い視野を持っていると感じます。僕も、ゆくゆくはグローバルな事業に携わっていきたい。たとえば東南アジアに販路を広げるなど、特にアジアの農業に貢献していきたいと思っています」

夢は北海道からアジア、そして世界へ!

北海道十勝帯広農業インターンシップに参加する学生は、チャレンジ志向の強い人が多いといいます。そんな若い情熱と帯広の農家が繋がれば、より多くの可能性が拓けてくるはず。十勝の農業の未来は、明るい光に満ち満ちていくことでしょう。

取材協力
TASUKI LLP/LLC(有限責任事業組合/合同会社)
住所:北海道帯広市西3条南30-1-18
連絡先:tasukillp@gmail.com / tasukazunari1006@gmail.com
公式サイト:https://nougyou-intern.com/

ライター、撮影:イシミスマサ

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