「十勝を開拓したのは、屯田兵ではないんだって!」「帯広って実は街のまわりに4%しか樹林がないんだって!」……そんな十勝にまつわる、十勝に住む人ですら知らない驚きがたくさん詰まった場所があります。
それが「帯広百年記念館」です。
帯広にあり、帯広の名が付きますが、扱っているのは十勝のあれやこれや。地元民も観光客も、一見の価値ありですよ!
帯広百年記念館があるのは、40ヘクタールもの面積をもつ緑ヶ丘公園の中です。同じ公園内には、北海道立帯広美術館やおびひろ動物園もあります。
十勝に開拓団体が入った明治16年(1883)からちょうど百年目にあたる昭和57年(1982)に建てられました。鳥が翼を広げたような建物は、当時の開拓小屋をイメージして造られています。さっそく中に入ってみましょう。
入ってすぐのロビーは吹き抜けになっており、開放感にあふれています。この空間でも、さまざまなコンサートや写真展などが開催されるそう。
正面から入ると、ロビーの右側にあるのが「陶芸ギャラリー」などの創造活動センター。陶芸をやっている人が多い十勝では、創作活動が根づいているといいます。
十勝についての常設展示室は、陶芸ギャラリーの反対側にあります。展示のイントロダクションには、いきなり迫力のマンモスの姿が!
これは、約2万年前の十勝平野の初夏を再現したジオラマです。氷河期はユーラシア大陸と陸続きだったという北海道。太古のロマンを感じずにはいられません。
帯広にはじめて開拓の鍬をおろしたのは、屯田兵ではなく、民間の開拓団体「晩成社」でした。晩成社を率いていたのが、依田勉三なる人物。明治時代に、十勝の産物を加工して函館や東京まで輸送し販売を試みた、十勝の先駆的な開拓者です。
歴史はもちろん、記念館では十勝の豊かな自然についても、たっぷり学ぶことができます。4つの環境に分けた生態展示や多くの剥製など、迫力満点のビジュアルで興味を引きつけます。
展示は、十勝の人々の暮らしにもスポットを当てます。昔懐かしい時計やストーブ、蓄音機といったものが、静かに並んで来館者を迎えてくれます。この道具たちは、確かに十勝の生活に寄り添ってきたものたちなのです。
さて、十勝といえば農業がさかん。十勝の豊かな大地は、昔からたくさんの農作物を育ててきました。「十勝・農業王国の確立」では、その開墾と耕作の歴史を改めて振り返ります。
歩みを第1展示室から第2展示室へと進めましょう。第2展示室では、旧石器、縄文、そして先住の人々であるアイヌ文化について紹介しています。
駆け足で紹介してきましたが、この記念館が十勝にまつわるあらゆることを贅沢に詰め込んだ場所だということは、きっとお分かりいただけたはず。観光で訪れるのも面白いですが、十勝に住む人こそ「そうだったのか!」と地元に対する新たな発見がありそう。十勝にますます愛着が湧くこと請け合いです。
※※当記事で紹介している写真は、撮影用に照明を明るくして撮影しています。