「オドゥブレ十勝」という名に聞き覚えがあるという人は、まだ少ないかもしれません。しかしながら、地元十勝では徐々に知名度を上げつつあります。オドゥブレ十勝とは、十勝産小麦100%を用いて作った、オリジナルパンのこと。職人らによって6年がかりで完成させた、今、北海道でもっとも熱いと言って過言ではないパンなのです。一体、どんな誕生秘話があったのでしょうか……?
物語は、平成24年(2012)にはじまります。十勝小麦の素晴らしさを世に広めるため、十勝管内のパン職人たちが集まって「十勝パンを創る会」を立ち上げたのです。
それまで、十勝産小麦はほとんどパン作りに用いられることはありませんでした。それどころか、十勝に住んでいる人が十勝産の小麦を食べる機会すら、ほとんどなかったといいます。そんな中、創る会が目指したのは、十勝産小麦100%のパン。まずはパン用小麦を入手するところから手掛けなくてはならなかったというから、その情熱と苦労には頭が下がります。
また、十勝産小麦でつくるパンはもちもちとして、まるでおにぎりを食べているような特徴的な食感があります。この特性を生かすため、東京の有名店「シニフィアン・シニフィエ」の志賀勝栄シェフを講師に迎え、開発当初から指導を受けてきました。
開発途中には、たとえば加水率を上げた方が味が出る反面、成形が難しくなる……といった難題もありました。そうした課題をひとつひとつクリアしていって、パン職人たちの技術も向上していったといいます。
そして平成30年(2018)、ついに6年がかりでオドゥブレ十勝が完成したのです。オドゥブレ十勝はチャバタがベースになっており、加水量が多く、もちもちした食感が特徴的です。そのまま食べてもおいしいですが、さまざまな料理に合わせたり、アレンジを加えて食べたりしても、よりおいしくいただけます。創る会の応援団「十勝パンを食べる会」では定期的に試食会を開催し、オドゥブレ十勝の可能性を楽しく模索しています。
現在、オドゥブレ十勝を購入できるのは、十勝管内にあるパン屋さん8店舗のみ。まずは地元の人に知ってもらい、食べてもらうことがスタートです。そして当面の目標は、ズバリ東京オリンピックの公式パンに選ばれること! 選手村に置いてもらうなどして、世界各国から訪れる人々に食べてもらうのがねらいです。十勝産小麦の魅力が世界に羽ばたくべく、まさに今、その翼を広げています。
十勝パンを創る会
電話:0155-49-6077(事務局:満寿屋商店 天方慎治)
公式Facebook:https://www.facebook.com/tokachipan/