帯広市内に、ちょっと珍しい温泉施設があります。それが「ローマの泉」です。古代ローマの公衆浴場(テルマエ)に由来を持つ名前の通り、どこかノスタルジックな雰囲気を持つこの温泉。なんと、建物内に入ると扉がたくさんあり、そのひとつひとつが個室の温泉浴場なのです。ひとりでのんびり入るも良し、家族で団らんするも良し。多彩な楽しみが待っているローマの泉へ、足を運んでみませんか?
ローマの泉の歴史は古く、開業時期は昭和40年代に遡ります。ただし、その頃は温泉ではありません。昭和55年に省エネ対策も兼ねて温泉ボーリングを行ったところ、地下1200メートルの深さから温泉が湧き出しました。しかも46度2分という、市内の温泉では2番目の高温。さらには毎分720リットルという、市内最高の湯量を誇ったのです。

その年のうちに、ローマの泉は温泉家族風呂として再スタート。翌昭和56年には、その横に温泉大衆浴場のローマノ福の湯もオープンしました。

さて、それではローマの泉から覗いてみましょう。まずは入口の受付で料金を払います。ローマの泉は、1人650円。サウナ付きの浴場では、何人利用でも1時間で2000円という値段設定です。

いざ中に入ると、長い廊下に等間隔に扉が並んでいます。一見、温泉施設とは思えないような空間が広がっていて、初めての人はちょっと驚いてしまうかもしれません。

実はこの扉のひとつひとつが個室の温泉浴場になっているというわけです。扉の向こうに足を踏み入れると、やっと温泉施設らしい雰囲気に出会うことができます。


開業時の施設をそのまま今に残しているという施設は、どこか懐かしいレトロな雰囲気が漂います。こんな環境で温泉に入るというのも、なかなか珍しい体験かもしれません。

ちなみにローマの泉のお湯は、炭酸や硫黄などの成分を含むアルカリ性。世界的にも貴重な、植物性のモール天然温泉です。地元で長く愛されてきた理由は、この素晴らしいお湯にこそあるのでしょう。

サウナ付きの個室もチェックしておきましょう。先に1時間で2000円と記しましたが、日祝以外は30分無料延長サービスがあります。さらに、サウナ付きならバスタオル2組とシャンプー&リンスも用意されているので、家族連れなら断然こちらの方がお得かもしれません。

一方、もうひとつの施設であるローマノ福の湯は、1人440円で入浴できる温泉大衆浴場。昔ながらの番台もあり、こちらもノスタルジックな気分をかき立ててくれます。

貴重なモール天然温泉を温泉施設らしい広々とした空間で堪能したいお客さんは、ローマノ福の湯を好むようです。


それぞれにいろんな楽しみ方ができるローマの泉と、ローマノ福の湯。好みに合わせて、ローマの泉の個室に入ってみたり、サウナ付きにしてみたり、ローマノ福の湯の大浴場で思いっきり手足を伸ばしてみたり……。いずれにせよ、素晴らしい泉質に癒されることは間違いありません。