帯広市内に、一見するとマンションのような、ちょっと不思議な温泉ホテルがあります。その名も「帯広温泉ホテル ボストン」。なぜボストン? という疑問はさておき、なんとなく昭和の香りを感じるレトロな建物内に入ってみましょう。もちろん、宿泊もできるようですよ!
ボストンが開業したのは、昭和58年のこと。最初から温泉施設があったようですが、どうにもぬるくて、なんとすぐに枯れてしまったそう。
でも敷地内で掘削したところ、もう1箇所からすぐに温泉が湧き出て、何なくリカバリー。出だしから脱力感たっぷりのエピソードですが、それもまた良し、なのです。
しかもお湯は、十勝には広範囲に点在しているモール泉。植物由来の有機物を含むモール泉は、全国の温泉マニアにもファンが多い泉質です。
モール泉の特徴といえば、ぬるぬるとしたお湯の手触り。美肌の湯として名高く、保湿力も抜群です。しかもボストンの湯船に浸かっていると、肌に気泡が付くのに気づくはず。これは、お湯が新鮮であることの何よりの証拠。
さらにボストンのモール泉は、温泉分析書上では「43.5℃」と記載されていますが、実際にはもう少し高く、常時44~45℃くらいあるといいます。そのため、酒に酔った状態で入ることは、おすすめできません。
また、ボストンの朝は早く、7時から営業しています。朝風呂を楽しみに、地元の人もたくさん訪れます。何しろ入浴料が大人430円(小学生200円、幼児無料)と、温泉施設としては驚くほどリーズナブル。朝いちばんでこんないいお湯に浸かれるなんて、うらやましい限りです。
外にはお地蔵さんがあり、訪れた温泉ファンが手を合わせることも。これは、このいいお湯が枯れないように、そしてお客さんが続くようにという願いを込めて、今は亡き社長が建てたものだそう。
せっかくなので、宿泊施設もご紹介しておきましょう。3階部分はお一人さま用のシングルルーム。4階から上はもともとマンションだったものをホテルとして再利用しています。
2DKと3DKのタイプがあり、まるで自分の家のようにくつろげると、家族連れなどになかなか好評です。
いい具合にレトロな雰囲気で、どことなくほっとする、ボストンの不思議な魅力。温泉マニアが注目するほどの素晴らしい泉質を誇りつつ、さらにこの独特の味わい深さが、また多くの人々を惹きつけているのでしょう。