十勝の開拓の歴史に、馬の存在は欠かせないもの。人と共に苦労し、共に働いてきた農用馬たちの活躍を知ることのできる施設が、帯広競馬場の敷地内にあります。それが「馬の資料館」です。まるで開拓時代にタイムスリップしたかのような数々の展示に、きっと改めて学ばされることも多いはず。競馬場を訪れた際は、ぜひ馬の資料館にも立ち寄ってみませんか?
帯広駅から車で約7分、アクセス抜群の立地に帯広競馬場があります。その正門をくぐると、目の前に見えるのが「馬の資料館」の建物です。
十勝の馬の歴史を知ることができる資料館というのは、きっと入る前から誰もが予想できること。しかし、まさかカンブリア紀にまで遡って馬の誕生を解き明かすとは、そのスケールの大きさにまず度肝を抜かれます。
建物の1階では、実際に馬の飼育に使われていた道具や、運搬や農耕の際に使われていた道具などが展示されています。
よく使い込まれた道具の数々は、眺めているだけで馬と人とが築いてきた歴史をリアルに感じ取ることができます。
また、農耕風景や装蹄所を再現したレプリカも展示されていて、これがかなりの迫力! 実際にこうした光景が繰り広げられていたんだろうなと、より分かりやすく、理解を深めることができるはずです。
さて、資料館の1階は、隣接する別館につながっています。こちらの別館にも、さまざまな興味深い展示があります。
そもそも十勝に馬が持ち込まれたのは、明治18年のこと。依田勉三を中心とする晩成社が農用馬6頭を入れたのがはじまりでした。以来、馬の活躍があったからこそ、十勝農業が今日の発展を成し得たのです。
馬の資料館に展示されているのは、約600点もの貴重な資料です。これらは、100人以上の個人や団体からの善意で寄せられたものだそう。ここでしか見られないものもあるので、ひとつひとつ、じっくり眺めていくといいでしょう。
さて、別館から戻り、資料館の2階へと向かいましょう。2階には実際に使用されていた種馬の成績表や血統書など、普段なかなかお目にかかれない珍しい資料も数多く揃えられています。競馬場の敷地内にある資料館なので、競馬の歴史なども展示されています。
どの展示も興味深く、馬や十勝の歴史を知らない人でも、十分に楽しむことができます。何より忠実に再現されたレプリカや実際に使われていた道具を目の前にすると、明治時代から続く人と馬との営みが、グッと現実味を帯びて迫ってくるはず。そしてそのリアリティこそが、馬の資料館を訪れる醍醐味と言って過言ではないでしょう。