あの店は今

2018.08.23 moriy

帯広市民が愛したお好み焼き?「ピノキオ」の今

帯広市民が愛したお好み焼き?「ピノキオ」の今

こんにちは。

いや、初めまして。“もりぃ”です。

ひょんなことから、東京と帯広を行ったり来たり… という生活をしてます。おかげさまで楽しくやっ ていて毎日ストレス無く生きてますが、勿論カネは無いです。

まぁ、そんな訳でこの1~2年の間に十勝・帯広界隈で知り合いが増えてしまったんだけど、その中の一人が、いきなりなんの脈略も無く帯広初心者の僕に言う訳ですよ。

“ピノキオ”っ て言うお好み焼きとたい焼きの店が昔あってね…」と。

なに? ピノキオ? …って言うか、北海道でしょ?十勝でしょ?お好み焼きとかじゃなくて、他にもっと十勝らしい ソウルフードがあるんじゃ無いの?

でもK美さん(あぁ、女性です)
「大好きで学校帰りにおやつ代わりに食べてた!」…と。

えっ?貴方は大阪で生まれた女ですか?(古くてスミマセン。)そもそも“ピノキオ”と“お好み焼き”ってワードが全然繋がらない… 。

ともかく、彼女にとって忘れられない懐かしい味のその店が、実はまだ帯広市内に存在していた!と聞いて、一緒に行ってみることになりました。

昔“まちなか”にあったイトーヨーカドーには地下にフードコートがあり、“ピノキオ”はそこで営業 していたそうなんだけど、そのヨーカドーがなくなった今は、白樺16条西2丁目にある“ダイイチ 白樺店” 内に移転した… という情報をゲット。

ちなみに、今回の取材の下調べで、店の名前が“ピノキオ”だったと解ったときのK美さんの第一声、「そんな名前だったっけ?」 まぁね。女性は忘れるよね。昔の彼氏の名前とか…。

… で、来ました。その、忘却の彼方にあった“ピノキオ”のある場所に。

関東育ちの僕には、“ダイイチ”はギリギリ聞いたことがあったけど、“グッドー”って何?

… なんて僕の疑問はあっさりスルーされて、“ダイイチ”の中に入ってすすむこと10数秒。

発見しまし た!『ピノキオ』の看板。

昔のヨーカドーの話を聞いていたんで、てっきりフードコート的なところにあるのかと想像してい たら、出入り口のよこにひっそりとたたずむテイクアウト専門の店になっていました。

正直言って、見落としそうな店舗の間口と場所…

勿論 しっかり営業中。

「あの~、すいません。ちょっと取材… って言うか、まぁ、そんなたいした者じゃないんですけ ど、でも、まぁ、取材なんですが…」

と、アポなしなのに、あまりに逃げ腰でお声掛けした結果、店主は相当懐疑の目… 。

そうですよね。そりゃそうです。 失礼しました… 。
K美さんが丁寧に説明し直し、なんとか“身の潔白”を晴らしてインタビューはスタート。

昔の店を知るK美さんが細かい基本情報を確認。まずは昔ヨーカドーの地下でやっていた店ですよ ね?… と、念押し。

やはり同じ店だった。

店主は小林哲也さん。ヨーカドーの店はお父様がやっていて、哲也さんが継いだそうだ。現在は 奥様と二人で店を切り盛りしている。

以前は、裏メニューで人気だったクレープ(木苺ジャム、バナナ、バニラアイス、チョコなど)も あったそうだけど、現在はお好み焼きとたい焼きの2トップのみ。 ちなみにここのたい焼きは、尻尾まで餡子が入ってることでも人気らしい。

さて、まずは大きな疑問。
お好み焼きとたい焼きの店の名が、なぜ『ピノキオ』なのか?… を聞いてみる。

「ん?それ聞くの?」… という感じの小林さん。

あれ?もしかしてアンタッチャブルなネタ?

… と思った瞬間、雄弁に語り始めた。

「むかし、父が“そばやき”で有名な竹屋製菓(東8南7)の社員で、その竹屋製菓がヨーカドー内に 出したテナントの店長になったんですが、竹屋製菓がヨーカドーから撤退する際に、そのテナントを父が引き継いで独立したのが“ピノキオ”になったみたいで…」と。 で、なんで“ピノキオ”の名前になったのかは小林さんも聞いてないそうで、他にその理由 を知る人は今では(多分)居ないらしい… 。

ちなみに、地元の“Chai”や“しゅん”などの情報誌に広告を載せるときも、“ピノキオ”と店名を 載せるよりも「昔ヨーカドーの地下にあった…」と書く方が、反響が大きいらしい。

なるほど、K美さんが名前を覚えてないのも当然… という訳か。 確かに、“ピノキオ”とお好み焼きやたい焼きのイメージが繋がらないのは事実だ。

ところで小林さん、このぶら下がってるGパンのミニチュアみたいな飾りの意味は?

「あっ、それ。お客さんから貰ったの。」

特に意味は無いらしい…。

それはともかく、K美さんが言うにはお好み焼きの美味さはもちろん、その“カタチ”に特徴が あると言う。

…って言うか、お好み焼きって丸いやつでしょ?せいぜい切り売りし易く四角いとか…?

↓で、そのカタチがコレです。たい焼きの箱の周りに並ぶ、白いやつ。

ナニコレ? これも“たい焼き”じゃ無いの?… という形状。何者?

どうも“お好み焼き”は北のこの地で、独特の進化を遂げていたらしい。
“北邦の白いヤツ”と言うべきか…(分かるヤツにだけ解れば良い)。

中身はどんなかと言うと、あっ、店頭にデッカイ写真が飾ってありました。

Is it an omelet(te)?
No, it is an okonomi-yaki.

おっと、思わず鼻水と同時に英語が出ちまった。(ちなみにOmeletteはフランス語)

冷静になって鼻水を擤み、この妙なお好み焼きの作り方に俄然興味が出てきたので(今ま で興味無かったのか!?)、調理の一部始終を見せてもらった。

まずは、このお好み焼き製造機。

特注らしい。
そりゃそうだ。こんな形の焼き器を見た事無い。

ちょっと自慢げに嬉しそうな小林さん。

焼き器に熱を入れて、待つ事数分。

スーパー内の店舗なのでガスは使用禁止で熱源は電気。… ので立ち上がりに時間が掛かる らしい。ヨーカドー内に店があった頃から同じで、現在の焼き機は2代目だそうだ。

温度が上がったのを手のひらをかざして確かめたあと、僕が写真を撮ると言ったのに、何の合図も無くいきなり生地を投入し始める。

矢継ぎ早にキャベツを投入。

すんません。作業早すぎて撮影追っつかないんですけど…。

なんて言ってる間に、今度は揚げ玉投入。
北邦の白いヤツ… を作る人は、ニュータイプばりに動きが速くてスムーズ。

ここまでこんな感じ。
型にハマってる以外は、割と普通のお好み焼き。

… と思ったら、卵を片手で割りながら、次々と投下!
若干“広島焼き”も入ってる?

そして、青海苔と鰹節を振り掛け…

再び、生地を少し流し込み…

少し焼いたあと、いきなり隣の鉄板をひっくり返す。

んだけど、いきなりやるから、また、その瞬間を撮れず終い。

そして反対側の焼き台で、同じ工程を繰り返す。
時間差で3枚ずつ、次々と焼いていける訳だ。合理的だ。

反対側の3枚の工程も一通り終わり、最初の3枚をひっくり返す時間を真剣に見計らう小林さん。正しく職人の目。

せ〜の〜

ポン!

意外にあっさり。
お好み焼き…と言うよりは、ホットケーキの様な仕上がり。

そしてまた、空いた側に生地を流し込む… (以下同文)

暫くホットプレート上で暖められた最初の3枚をその場で裏返して、特性ソース(かどう かは聞くの忘れたので不明だけど、そんな気がする)を丁寧に塗り…

ここで、伝家の宝刀“ピノキオ折り”!

二つ折りの… オムレツ状態となった…お好み焼きを、包装紙(アルミホイル+紙)の上に移動し、ついにここで“ピノキオ”お好み焼きの真骨頂!独特の包み方を披露〜!

… と思ったら、

あれよあれよと言う間に…

包まれてしまった。

この包み方は先代が開発したそうで。
お好み焼きを片手で食べられる様にするには?… と工夫した結果らしい。

ところで十勝では、お好み焼きを片手で食べる必要があったのだろうか?

まぁ、新製品と言うものは、得てしてそういう発想から生まれるんだろう。
僕みたいな凡人には到底到達できない境地。

取材中も引っ切り無しにお好み焼きを買いに来るお客さんが居て、僕らはちょっと邪魔。 … なのに、僕らを全く気にする風でも無く、小林さん夫妻はお互い特に何の合図もせず、 お好み焼きの製造・販売を次々とこなしていく。
その見事な連携プレーに、感極まって涙…まではいかないけど、感心した。
ひとつひとつの所作が、長年積み重ねた結果の二人の答え… という訳だ。

あるいは、今日たまたまスムーズだったのかもしれないけど。

取材のお礼を言って僕らの分も購入し、店を後にする。

ちょっと“ヒソキオ”にも読める…。

という訳で、僕も食べてみた。

天気が良かったので、外で食べよう… と“帯広競馬場”へ。
ちょうど“ばんえい競馬”の開催日だった。

まずはスタンドのベンチに腰掛ける。

全く知らなければ、この紙で包まれた半月状の物体が“お好み焼き”だとは、想像もしない だろう。

剥いてみる。

こんな感じ。内側がアルミホイル。

食べてみた。

うん。美味しい。
味はお好み焼きと言うよりタコ焼きに近い。
勿論タコは入ってないし、中身がトロッ… としてる訳じゃないけど。

そしてこれが結構ボリューミーで(まぁ、ビールのせいもある)
おやつと言うよりはランチにもなる感じ(ビールのせいかも… )。
もっとも喰い盛りの学生にとっては、やっぱりおやつの量かも…(ビールが無ければ)。

これが、懐かしのソウルフードになる理由も分かる。
安くて、美味しくて、そこそこお腹にも溜まる。
ヨーカドーがまちなかにあった頃、地下のフードコートでこれを頬張った学生や若者は沢 山居たんだろうなぁ。

… ということで、お腹も膨れたし、ここは競馬場だし、馬券を数百円買ってみた。
“ばんえい競馬”は、スタート地点からゴールまで馬と一緒に移動しながら真横で見れるの がイイ。
その上(数百円とは言え)お金が掛かってる訳で、否応にも盛り上がる。

で、
負けました。

ビギナーズ・ラックは無かった。
“試される大地”で試されてしまった…。

いや、全くモウマンタイ(無問題)!
美味しい“ピノキオ”お好み焼きを食べたついでだった訳だし。
数百円数分間気分の高揚を楽しめた訳だし。 十分元は取った。

… とは言え、負けは負け。損は損。
裏の“ふれあい広場”で、ばん馬達にニンジン買わなかったさ。
なんで負けたオレが振舞わねばならん!

で、ニンジン与えてるのは、大勝ちしたK美さん。

という訳で、
“ピノキオ”のお好み焼きは、今も健在でした!

【たい焼きとお好み焼きの店 ピノキオ】
前店舗 旧イトーヨーカドー 地下1Fフードコート内(~1998年)
現店舗 ダイイチ白樺店のテナント(1998年頃から)

お好み焼き 240円(税込)
たい焼き 小倉あん 110円 (税込)
たい焼き クリーム 120円 (税込)

帯広市白樺16上西2丁目 ダイイチ白樺店内
営業時間 10:00-20:00 定休日 水曜日
tel 0155-41-6606
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店主 小林 哲也さん

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