あの店は今

2019.05.08 moriy

帯広における「スパゲッティ」の認識を、80年代「パスタ」に変えた店

帯広における「スパゲッティ」の認識を、80年代「パスタ」に変えた店

こんにちは。“もりぃ”です。

二度目の投稿です。
取材したあと、ずっと忙しさにかまけて放置してたら編集長に怒られました。
イイ歳した大人になってから怒られるって、結構凹みます。

さて、そいう訳で、『あの店は今』の第2回です。

前回(ピノキオ)の冒頭で書いた様に、僕は帯広地元の人間ではないの で、この企画で取材する店は、十勝・帯広の地元出身者が若い頃に通った“懐 かしい店”を知ってる人からの依頼です。

そして今回2回目の取材対象店は、ダラララララララララ(←あっ、ドラム ロールです)、ジャン!『アパッチカレー』です!

“十勝晴れ”の雲ひとつない天気の良い日、今回も取材に同行する三人と車に 乗り込み、国道38号線沿いにある店に向かうと、10分も経たずに店の看板 が、空高く。

店名の『アパッチカレー』。やっぱり“インデアン”を意識?
いや、それよりも、『アパッチカレー』の下にある『どさんこ』ってナニ?

頭の中に浮かぶいくつかの「?」を胸に秘め(頭に中なのに)、駐車場に入っ たところで、衝撃の事実に!

…………。

いや、営業日と時間は一応調べたんですよ。

休業なのか? 営業してて終了したのか?更に心の「?」マークが増える。
…って言うか、どうする?
…どうする?
…どうする?
…どうする?
…どうする?

さて、みなさまお待たせしました!
帯広の懐かしの名店の今をお伝えする、“あの店は今”のコーナーです。
映えある第2回目の取材対象店は、ダラララララララララ〜、ジャン!

『ア ル・デンテ』です!

いやぁ〜、デキる大人は第二案を用意してるもんです。楽勝です(…汗)。
とにかく!
今回の取材は『アル・デンテ』です。

30年ほど前に、平原通り(西2条通り)沿いにあったCD/楽器店の”玉光堂”の の入っていたビルの二階にOPENし、当時パスタ(と言うか「スパゲッティー」って言ってたはず)は「ミートソース」と「ナポリタン」くらいし か無い時代に、トマトソースやクリームソース、和風パスタと言った豊富な メニューで、アッと言う間に人気になった繁盛店だそうで。

当時の帯広界隈の高校生・大学生の間では、『アル・デンテ』は“本格的なパ スタ”を食べられるちょっと洒落た店…というイメージがあったと、トカチナ ベ担当の某氏。「今思えば…」と。ん?

その最後のゴニョゴニョ言葉を濁す感じは、一体?

さて、“十勝晴れ”で雲ひとつない天気の良い日……そこはもう良いか……帯広駅前から車で数分。西三条南17にある現在の店舗へ。街なかにあった頃と 違い、今は一軒家。なんだかちょっとスイスとか南ドイツのアレ風な外観。 あれ? パスタだよね? イタリアンじゃないの?…と、ここでものっけから頭 の中には「?」が。

(あっ、良かった!営業中) 

営業時間はランチだけか…。
今、14時。まさかもう、ラストオーダーじゃ無いよね?
…と恐る恐る店内に。
他にお客さん居なかったから一瞬焦ったけど、奥からマスターが出て来て「いらっしゃい」と。
ひとまず良かった…。第三案はないです…。

店内にカウンターはあるけどそこに席は無く、4人掛けのテーブル席が2つ横付け。その背後は小上がりの座敷席。
外観は、南ドイツやスイス、フランスアルザスによくありそうな木骨造のデザインだったのに、なんとも言えない内装…。なんだこのミスマッチ感!
侮れない『アル・デンテ』。

早速メニューを見る。びっくりするほど種類が多い。…けど、“アルデンテ” という言葉からイメージする様な、本格イタリアンパスタ…は、どうやら無さそうだ。
恐るべし『アル・デンテ』。

このメニューを眺めていて、なんかちょっと思い出した。
80年代のバブル期くらいに、こういう和風系やクリームソースを使ったパスタ屋さんが、急に日本で増えた気がする。
イタリアン・ブームが来るのは、そのちょっと後だったか。

ちなみに、メニューの表紙には『アルデンテ』の文字。あれ?中黒『・』はどこ行った?(表の看板には『・』が一応小さく入ってる)

まっ、細かいことは気にしないで(してるけど)、「はじめてのアル・デンテ」で食べるべきメニューを決めねば!
ちなみに今回も同行のK美さん、とフナP。

そして、真剣にメニューを見つめるK美さん。

まっ、その真剣さはわかる。

さすがにこれだけメニューの種類があると迷う。
まして僕なんて初めての来店なんで、なんか「間違えたく無い!」と言う気持ちが満々。正解があるのかは知らんけど。

今日、同行したがっていた、当時の店を良く知るサンタさん(←本名)のオススメは、敢えての“ミートソース”だったんだけど、ここ数年(もっとかな?)、個人的にあんまり見かけてない気がする“クリームソース”系に。具材は散々迷った結果、“鮭とベーコン”。
同行の三人は写真のそれぞれ。少しずつ他の人のも味見をしつつ…ということで。

同行のK美さんも、やっぱり高校生の頃、街なか時代の『アル・デンテ』には行ってたらしい。

で、当時の思い出を聞いてみると、『アル・デンテ』や『玉光堂』があった向かいの“かじのビル”に、ドリア専門店の『セニョール・ピコ』って言う店があって、お好み焼き風ドリアが美味しかった!だとか、『きんぐ』(別の場所にあったけど、残念ながら去年末で閉店)のチーミー(チーズミートソース)や、『いっぷくティー』のフライドポテトとか美味しかった~!とか。

思い出の店の美味しさを思い出したのか、あるいは当時、一緒に店に行った彼氏を思い出したか、 イイ笑顔で話す。

あれ?『アル・デンテ』の思い出は? 実は当時、あんまり行って無かった?あるいは一緒に行った人にフラれた店?黒歴史?

まぁ、そういうのは要らないから…というネタばかり、K美さんから次から次へと出てきて、結局『アル・デンテ』とは関係無い話を聞いているうちに、パスタが出てきた。

まず、僕が頼んだ“鮭とベーコンのクリームソース”。

そして、他3名分。

なんか、かなり太めの麺。
そしてちょっとボリューミー。

まぁ、まずは一口

ちょっと心配そうに見守るマスター。

あれ~~!(笑)(←K美)

K美さん、そのあからさまな反応はちょっと…。

なんて言うか、アル・デンテと言うのは、こういう感じではないよね?(でも、言えない…)みたいな。

でも、黙々と食べる我々。見つめるマスター。

勿論、不味い訳ではないんです!
いや、むしろ美味い。
…って言うか、昭和の懐かしの味!洋食屋さんのパスタ!(僕、褒めてますか?大丈夫ですか?)

う~ん…。

いや、冗談じゃなくて、ホントに美味しいんですよ。

僕自身は勿論、毎日満席で大変だった当時の『アル・デンテ』のことを知らないけど、この味は知ってる。かつて「スパゲッティー」が「パスタ」とちょっとお洒落な感じになって、一挙に日本中に広がった時代の、あのとき新鮮に感じた、あの頃の味!

マスターは若い頃、札幌でBarをやっていたらしいんですが、30年ほど前に故郷の帯広に戻って『アル・デンテ』を始めたそうで。

なんで、Barのマスターからパスタ屋なんですか?と聞いたら、
「当時、札幌で流行り始めたパスタ屋があってね…」

…と、当時を思い浮かべながら話し始めた巨匠。

「でね。見てたら麺を茹でるだけだな…と思ってさ。なんかラクそうでしょ?」

えっ? 料理人魂が芽生えたとか、商売としての先見の明とか、そういうんじゃ無いんですかっ!?

「う~ん…」

「札幌でBarやってて、疲れちゃったんだよねぇ~」

ナント!
都会から地元にUターンして成功する秘訣を、ここに垣間見た気がする!
もしくはただの勘違い…。

それはともかく、なんだかラクそうだ…と、始めたはずのパスタ店『アル・デンテ』。

それが時代に(あるいは帯広に)マッチし、すぐに繁盛店となって、最盛期には日中に4~5回転する様な忙しさに。
のんびり楽して暮らそうと思って帰って来た帯広で、まさかの忙しい日々。更に儲かったお金で、アンティークの商売にまで手を出す始末…。

ちなみに当時、イタリアの有名パスタ麺のブランド『Barilla(バリラ)』を日本一売っていた(仕入れていた)そうで、イタリア本社から表彰されたりもしたらしい。
そう言えば、店内にはBarillaの古いポスターがいくつもあったり…。

そしてイタリアから送られて来たという楯も。

まさかの日本一!
そして、イタリア本社からの認定!

それが30年ほど前の帯広のこの地の店だった訳で…。伝説がここにあった。
↓伝説作った人。

「いやぁ~」
と照れるマスター。

あくまで麺の茹で加減は、“アル・デンテ”では無いけど…。

そういう繁盛店時代も、帯広の街なかが衰退していくのとリンクし、だんだん客足が減っていく。
15年ほど前になるか、昼間、人通りがめっきり減ってしまった街中で、高い家賃を払って商売を続けるより、少し離れてのんびりと…と、たまたま知り合いが教えてくれた居抜き物件が、今の店舗。

帯広に戻って20年近く経ってから、漸くのんびり自分のペースでやっていける場所と出会えた…とも言えるのかもしれない。

外観と内装の違和感、店内のちょっとくたびれた感じも、それはマスターの人生の集大成だ。僕らには何も言えない。

いや、ゴメン。
やっぱりちょっとだけ言いたくなる…。

まぁ、それはそれとして、長い人生はその時々で色々変化する。
その中で『アル・デンテ』のマスターは、“アル・デンテ”という名前の通り、細くてもしっかりとした一本の“芯”を持ち続けていた訳だ。

そうだ! マスターに確認しておきたいことがあった。
前述の“サンタさん”との繋がり。
彼は東京から畜大に入り、卒業後もそのまま帯広に惚れて残って“玉光堂”に就職。職場の上が『アル・デンテ』だったこともあり、本当にしょっちゅう食べに行ってた…と。

「マスター、サンタさんというお客さん、覚えてますか?」と切り出してみた。

実はマスターの息子さんが中学生の頃、サンタさんが帯広畜産大学出身と知って、彼に息子さんの家庭教師を頼んで家に来て貰ってたそうで、それこそ『アル・デンテ』だけではなく、マスターのご自宅で夕飯すら喰ってたらしい!

「なんだ~、サンタくん、今、帯広に戻ってるんだ?」
と、いきなりその場で電話をかけ始める。

少しの間のあと…。

「あっ、サンタくん? 帯広に戻って来てたんだって? なんで食べに来ないの~!全く水臭いなぁ~!」

いきなり電話かけるほどの間柄だったのか~!

そして、今の時代なら、親しい間ならLINEやFBメッセンジャーで…というシチュエーションなんだけど、突然電話する…というのが、いかにも昭和の時代の関係だなぁ~と、妙なところでジワる…。

まぁ、とにかく、僕らの取材がまさかの感動の(?)再会の現場作りに貢献した訳だ。
(もしくは余計なお世話…)
さて、マスターの話が面白くて、閉店の15時を過ぎてしまった。
どうも色々お話聞かせて頂き、ありがとうございました。

最後はしっかり、今日のランチは取材費から…ということで、領収書を書いて貰いつつ…。

またた、食べに来ます!
今度は、サンタさんオススメの“ミートソース”を!
今日はご馳走さまでした。

アル・デンテ

アル・デンテ

場所: 帯広市西三条南17-8-1
電話: 0155-22-9850
営業時間(予定): 11:00-15:00

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