十勝・釧路地方に住む人なら、食品スーパーの「フクハラ」は馴染み深いはず。その創業者である福原治平が建てた個人所有の別荘が、鹿追町にある「福原山荘」です。昭和45年に完成した福原山荘が、なぜ一般に公開されるようになったのか、そのいきさつも含め、見事な紅葉の様子を覗いてみましょう。(トップ写真は2018年10月9日撮影のもの)
広大な福原山荘、その敷地面積は実に85,000平方メートル、25,000坪にも及びます。もともとはニジマスの養殖場として使われていた土地を、戦後、福原治平が譲り受けました。
治平はそこに約1000本ものヤマモミジを植樹。現在、そのうちの約300本が残っています。時間をかけて整備を続け、今のような福原山荘が完成したのは、昭和45年のことでした。当時は主に家族でリフレッシュしたり、来客をおもてなししたりする目的で使用されていたようです。
そんな福原山荘が一般公開されるようになったのは、平成19年のこと。同年に開館した福原記念美術館や然別湖に当時あったホテル福原のお客さまに、ついでにお立ち寄りくださいというささやかな気持ちからでした。創業者の治平自身が生前「山荘」と呼んでいたため、「福原山荘」という名称も自然と決まりました。
ちなみに一般公開されるのは、紅葉の時期の1ヶ月間だけ。今年(2019年)は9月14日(土)から10月20日(日)までとなっているので、注意が必要です。取材に訪れたのは9月27日で、まだ紅葉がはじまったばかりといった感じでした。
聞けば、紅葉の見頃は例年10月の第1週から2週あたりなのだそう。無料で誰でも入場可能なので、近くに住んでいる人は何度も訪れて紅葉の進み具合を観察しながら、ゆったりと散策してみるのもいいかもしれません。
庭園の管理は、基本的には公開前に芝刈りをする程度。ほぼ自然のままの状態だというから、驚きます。どこを切り取っても絵になる光景が広がっていて、自然の持つパワーに圧倒されつつ、うっとりと見入ってしまいます。
この福原山荘が、鹿追町、十勝にとって、広告の役割を果たしてもらえれば……と、福原家の人々は考えています。人の流れをつくり、地域経済を活性化させる一端を担えれば、と。それは他でもない、山荘を創った治平自身の願いでもあったことでしょう。美しい十勝の秋はここに確かに存在し、たくさんの人が訪れ、時代を超えて受け継がれていきます。
2019年ご利用案内
期間 2019年9月14日(土)~10月20日(日) 期間中無休
開放時間 9:00~16:00
入場無料
所在地 北海道河東郡鹿追町北瓜幕5
お問い合わせ 0156-66-1010(福原記念美術館)