JR帯広駅から車で約10分。音更と帯広市街地を見渡せる小高い丘の森の中に、2本のモール源泉を持つ、知る人ぞ知る温泉施設があります。50年近い歴史を持つ「丸美ヶ丘温泉」です。なんでも地元の人からはずっと愛され親しまれてきたということで、そんな温泉が素晴らしくないわけがありません。期待に胸を高まらせつつ、いざ、訪れてみましょう。
丸美ヶ丘温泉が掘削されたのは、昭和47年のこと。その翌々年、昭和49年に、温泉施設として開業しました。何より特筆すべきは、周囲の環境です。
建物は小高い丘の上にあり、眼下には帯広の市街地が広がっています。上空からの写真を見ると、まるで日常生活から分断されたように、ひっそりと森の中に佇んでいるのがよく分かります。
丸美ヶ丘温泉の敷地面積は、なんと約9000坪。これだけの広さを誇っているからこそ、客に非日常の時間を提供できるというわけです。特に取材時は紅葉の時期とあって、敷地内に降り立っただけで自然の美しさ、環境の素晴らしさに、溜め息が出るほどでした。
施設には大浴場と個室の家族風呂と宿泊できる場所があり、それぞれ繋がってはいますが別々の建物です。まずは大浴場に入るべく、駐車場すぐの入口へと向かいます。
丸美ヶ丘温泉には、券売機はありません。写真に写るカウンターの辺りで入浴料を支払い、奥へと進んでいきます。人と対面して、対話して、そこから風呂場に向かうというのも、なんとなく懐かしい気持ちにさせてくれます。
大浴場に足を踏み入れると、その開放的な光景にまずは感激することでしょう。大きな窓からは、湯けむり越しに季節ごとの風景を臨むことができます。じっくりと湯に浸かりながら木々を眺めていると、心までじわじわと癒されていくのが実感できるはず。
丸美ヶ丘温泉の源泉は2本のモール泉。小さな湯船がぬるめの源泉、大きな湯船が高温の源泉です。ぬるめの源泉にゆっくり入るのも良し、熱い源泉に入った後にぬるめの源泉に入ってほっとひと息つくのも良し。
ちなみにモール泉は美肌の湯として名高い温泉です。さらに丸美ヶ丘温泉を堪能したお客さんからは、痛いところがなくなったとか、捻挫が治ったとか言われることもあるそう。地元では、治癒ができる温泉と言われるお客様もいらっしゃるようです。
大浴場から宿泊施設を挟んだところには、個室家族風呂の建物もあります。せっかくなら、こちらも楽しんでみませんか?
建物に入ると、大浴場側とはまた違った明るい雰囲気に包まれます。ピンクのドアがいくつか並び、それぞれに個室家族風呂が用意されています。
個室とはいえ、もちろんそれぞれにちゃんと脱衣場や洗面なども設けられています。誰にも気兼ねせず過ごせるのがいいですね。
個室家族風呂とはよく言ったもので、まさに自宅にいる感覚で入浴できるのがうれしいところ。じっくりと、心ゆくまで温泉を味わいたい人にも良さそうです。
さて、温泉にゆっくり浸かった後は、少しの間、のんびりと過ごしたいもの。大浴場の休憩所でくつろぐのもいいですが、先にも述べたように丸美ヶ丘温泉の敷地面積は約9000坪もあります。この広大な自然の中をゆったり散策してみるというのはいかがでしょう。
たっぷり息を吸って、木々を縫うようにして歩いていると、温泉でほてった体も少しずつクールダウンしてきて、なんとも言えない心地良さが感じられます。これは他の温泉施設ではなかなか味わえないこと。
また、丸美ヶ丘温泉では現在、素泊りで宿泊できる部屋が3部屋限定であります。以前は17部屋もあったようですが、平成17年からは改装した3部屋のみを提供しているのだとか。しかしそれではもったいないと、施設を有効利用する計画が現在進行中とのことなので、楽しみに待ちたいところです。
温泉施設を訪れる目的のひとつが、非日常の心地良さを味わうことだという人にとっては、まさにうってつけの丸美ヶ丘温泉。森に囲まれた贅沢な空間で、ぜひ温泉を堪能してください。心も体も癒されること間違いなしです。