ジオパークというものをご存じでしょうか。日本ジオパーク委員会によれば、ジオパークとは「地球・大地(ジオ)」と「公園(パーク)」を組み合わせた言葉で、「大地の公園」を意味し、地球(ジオ)を学び、まるごと楽しむことができる場所のことを言うのだとか。委員会が認定した「日本ジオパーク」は、44地域(2019年4月現在)。北海道には、5地域あります。今回はその中のひとつ、とかち鹿追ジオパークに注目してみましょう。
とかち鹿追ジオパークが日本ジオパークとして認定されたのは、平成25年12月のこと。以来、日本ジオパークの一員として、かけがえのない環境を保全・活用するための活動に取り組んでいます。
ジオパークなるものがどういったものなのか、百聞は一見にしかずということで、さっそく中へ入っていきましょう。外観からは博物館のようないかめしい雰囲気はなく、むしろ親しみやすい空気が漂っています。
ちなみにとかち鹿追ジオパークでは、玄関で靴を脱ぎます。「地球について学ぶぞ!」と意気込んで訪れた人も、いい感じに肩の力が抜けるかもしれません。
中に入ると、まず目に飛び込んでくるのがプロジェクションマッピングによる展示。「鹿追の大地のなりたち」と題したこの展示では、長い歴史の中で大地がどのように変化していったのか、プロジェクションマッピングで表現しています。
火山の影響や川の流れが変わることによって、大地がどのように変形していくのか、刻一刻と時代が進んでいく様は、見ていて飽きません。プロジェクションマッピングはリアルにダイナミックに迫ってくるので、体感的に大地の成り立ちを理解できます。
さて、その他の展示を左からぐるりと時計回りに見ていきましょう。まず左手に見えてくるのが、鹿追の大地の歴史を年表で学べる展示です。年表はなんと6千万年前から始まっていて、それほど昔の大地の様子が知れるということに驚きます。図解や写真も多く、子どもでも分かりやすい展示です。
左手奥に進むと、またしても迫力の展示。然別火山群は、6万年前から1万年前にかけて噴火を繰り返してきました。その様子とメカニズムが模型によって表現され、来場者の目を引きます。
右手奥へと進んでいくと、今度は「風穴(ふうけつ)」に関する展示が。風穴とは何なのか、どうやってできるのか、風穴によってどんな環境が生み出されるのか? 実はこの鹿追の地にエゾナキウサギが生息しているのも、風穴がもたらした環境のおかげ。風穴の模型装置からは、実際に風穴内部の冷たい水蒸気に触れることができます。
時計回りにどんどん進んでいけば、今度は砂を使ったミニチュアの大地(?)が。上方から水を流し、それによってどのように大地が変化していくのかを見ることができます。また、ジオパーク内では鹿追に棲む生き物たちの姿を間近で観察することも可能。
とかち鹿追ジオパークはこうしたさまざまな展示で楽しませてくれるのはもちろん、鹿追の自然に関する情報も発信しています。ネイチャーガイドツアーに参加したい、エゾナキウサギに会ってみたい、など、自然と触れあうことが目的で鹿追町を訪れたなら、まずはこちらで情報収集することをおすすめします。
平成28年4月に展示室がリニューアルされたということもあって、さらに見やすく、興味の引かれる仕掛けが増えた、とかち鹿追ジオパーク。子どもも大人も楽しめる工夫が満載なので、ぜひファミリーでも訪れてみてください。