ツリーハウスと聞いて、映画『スタンド・バイ・ミー』やアニメ『トム・ソーヤーの冒険』の一場面を思い出す人は、少なくないはず。木の上に造られた家はまるで秘密基地のようで、大人になってもワクワクしてしまいます。そんなツリーハウスが、北海道は鹿追町の「三部牧場」にあります。しかも、予約をすれば誰でも宿泊できるんです! 一体どんなツリーハウスなのか、子どものように好奇心を満タンにして、さっそく訪ねてみましょう。
まずは三部牧場の歴史から。三部牧場は明治45年に東京都から入植した三部政雄さんによって開墾されました。じゃがいもなどの畑作をする一方で、昭和初期からはばくろう(馬の売買)を開始。さらには昭和13年に初めて牛を購入し、昭和42年に本格的に酪農業を開始しました。
そんな三部牧場の敷地内にツリーハウスが完成したのは、平成16年のこと。現オーナーで三代目の三部正司さんが、夢だったツリーハウスを友人に依頼し、造ってもらったのだそう。最初は自らの隠れ家として使うつもりでしたが、もともとグリーン・ツーリズム(農山漁村に滞在して地域の人々と交流を図る、体験型の余暇活動のこと)に興味があったこともあり、誰もが宿泊できる施設として利用しようと思いつきます。
グリーン・ツーリズムというからには宿泊だけでなく、ここではさまざまな体験もできるわけですが、まずは気になるツリーハウスの全貌から見ていきましょう。完成までに半年ほどかかったというだけあって、かなり立派!
実際にツリーハウスを目の前にすると、もうワクワクが止まりません。中に入ると、さらにビックリ! なんとこのツリーハウス、子ども心をさらにくすぐってくれるようなロフトまで付いているのです。
これだけの広さがあれば、家族連れでも十分に宿泊可能です。ちなみに牧場周辺にはスーパーやコンビニはありませんが、ツリーハウス内に冷蔵庫やポット、電子レンジなどが完備されています。冷蔵保存やチンできるので、簡単な食事ならここで済ませられます。鹿追町の市街地から車で5分ほどの距離ですが、せっかくなら買ってきてでもこの場で食べた方が、より楽しさが増すかもしれません。
また、三部牧場には石窯もあってピザ作り体験ができます。牧場のハウスで採れた旬の食材を用意してくれて、調理方法もしっかりレクチャーしてくれるので、本格的な石窯での調理に挑戦するのも面白そう。要予約で1人前が税込2,000円、2人前から受け付けてくれます。他にバーベキューもできるので、興味のある人はホームページで確認してください。
宿泊に伴う体験プランとしては、五右衛門風呂なんて珍しいものもあります。風呂焚き用の薪を税込1,000円で購入し、まずは薪割りからスタート。火を点けて薪をくべて、ようやく温かい風呂に入れるという体験は、現代ではなかなかできないもの。風呂釜は鋳鉄製で、湯が冷めにくいという特徴もあるのだとか。
ピザを焼いたり、五右衛門風呂に入ったり、楽しい時間はあっという間に過ぎていくことでしょう。そうそう、ツリーハウスにはハンモックが吊されたテラスもあり、その下にはブランコがあるなど、大いに遊ぶこともできます。
そして夜ともなれば、満天の星。街灯や民家が周辺にないからこそ、星の輝きが一層強く感じられます。
ツリーハウスで目覚めた朝におすすめなのが、1人税込1,000円で申し込める牧場見学です。牧場スタッフが酪農ファーム内を共に歩きながら、牛の1日の生活や酪農についてなど、丁寧に解説してくれます。
朝早くから始まる酪農という仕事を間近で見ながら、好奇心いっぱいにこちらを覗いてくる牛たちともご対面。
1人税込1,500円で乳搾り体験もできます。牧場に来たからには、これは体験しておきたいところ。
三部牧場で暮らす動物は、牛だけではありません。牧場見学の際には、他にもたくさんのかわいい仲間たちと出会い、触れ合うことができます。
三部牧場がツリーハウスを利用してファームイン(農家宿泊)体験牧場を始めたのは、平成20年6月のこと。以来、評判が評判を呼び、多くの人がここで忘れられない体験をしてきました。宿泊のみなら大人7,000円、幼児3,500円(どちらも税込)で、4月下旬(GW)から10月末までオープンしています。1月1日から次のシーズンの予約が可能ですが、大人気のため、すぐに予約が埋まってしまうのでご注意を。
それでもここで過ごす時間が楽しくて、忘れられなくて、家族連れでリピーターになる人も多いのだそう。誰もが一度は憧れるツリーハウス、そして牧場での貴重な経験の数々を、ぜひ三部牧場で味わってみてください。